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今でも

中学の頃、朝、いつも一緒に登校する友達がいた。

私たちの学校の制服はセーラー服で

寒い時は、ブレザーを羽織っていた。

その子は、秋も深まり、冬になっても

ブレザーを羽織っていた。

周りの子は、みんな、オーバーを着こんでいるのに。

北海道の冬に、ブレザーだけでは寒い。

「寒くないの?」

私が問いかけると、彼女はいつも

「ううん。寒くないよ」 と、明るく答えていた。


その日の朝は、吹雪だった。

彼女は、いつものようにブレザーだけの姿でいた。

驚いて、「寒くない?」 ときくと

「うん、寒くない」 そう彼女は答えた。

ブレザーの肩の上には、みるみるうちに雪が降り積もっていく。

寒くないわけがない。

そして、私は気がついてしまった。

彼女は、ブレザーを着たくて着てるのではない。

オーバーを、持っていないのだ。


私のうちも、決して裕福ではなかった。

幼稚園の頃、制服のタイツには、つぎはぎがしてあったし

母は、銭湯に行く時だけ、よそゆきの下着を着た。

彼女は、普段、父のお古の下着を身につけていた。

父は、外で仕事をする人だから、何かあったら恥ずかしいと

父の下着は、家族のなかで一番優先されていたのだ。

父は、自分の実家にも仕送りをしていて、ふた家族分、稼がねばならなかった。

うちだけじゃない、そういう時代だったのだ。

だが、私たち子どもは、親の必死の頑張りのおかげで

おなかをすかせることもなく、寒い冬でも、防寒着を着ることができた。

だから

彼女がオーバーを持っていない、ということに

衝撃を受けた。


買ってやりたくても買えない。

そういう家庭が、かならずある。

裕福になったように見える現代でも

どこかに、必ず、ある。


私はそれ以来、彼女に

「寒くない?」 と言うのをやめた。

「寒くないよ」 と答えていた彼女に

今でも

心のなかで、ごめんなさい、を繰り返している。







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